#4 そうだ、順位を予想しよう。

UZRが抱える問題点

UZRは守備範囲を表す指標であると書いたが、それは打球に対してである。
ここから何が言えるかというとUZRでは打球ではなく投球に対して守備をする捕手の正確な守備能力を測ることができない。
そこで捕手のUZRに対して考えていく。

捕手の役割

そもそも捕手の役割とはなんなのだろうか。

捕手は投手の投球を捕球する以外にも、配球(主にNPB)、送球、牽制、ブロックおよびチームの守備全体を指揮する役割など、多岐にわたる様々な役割を要求されるポジションである。
引用元: 捕手 - Wikipedia

これに対してセイバーメトリクスの主な指標を割り出すDELTA社ではWARの定義として捕手のUZRをこう定義している。

打球の処理が主な役割ではない捕手についてはUZRによって有効な評価を行うことができないため、盗塁阻止・捕逸・暴投・失策の多さに得点価値を乗じて得点化した他の野手とは異なる評価を行っている。
引用元: 1.02 - Essence of Baseball | DELTA Inc.

投手の投球の捕球 ≒ 捕逸
牽制 ≒ 失策
送球 ≒ 盗塁阻止、暴投
で測ることができていそうである。
しかし、配球と守備全体を指揮する役割については評価されていないように思える。
これではUZRが正しく算出されていない。つまりWARが正しく算出されていないのである。
ここから冒頭に戻ると本ブログでは捕手の能力を元に順位予想を行おうとしているため、正確に順位を予想することができない。

#3 そうだ、順位を予想しよう。

WARの算出方法

前述したWAR
今回はその算出方法について解説しよう。
WARは野手の場合、打撃・走塁・守備の三つの指標を合算することによって算出される。

打撃の評価 -wRAA-

wRAAは、wOBAと呼ばれる指標に対して球場補正をかけ、リーグ平均のwOBAを引く。
この値に打席数をかけることでリーグ内での相対的な打撃評価を行う。
wOBAというのは、現在では一般的になっているOPSという指標に対して、得点の価値をつけることで算出する。
詳しく知りたい方はこちらを参照してほしい。非常にわかりやすく書いてある。
(てか、解説全部ここ見て貰えばいいのでは)

https://gogo-fighters.com/woba/

走塁の評価

WARにおける走塁の評価は、盗塁・盗塁刺の部分で平均的な走者に比べてどれだけ利得を得たかを表すwSBと、盗塁以外の走塁(安打の際の進塁、タッチアップなど)の部分で得た利得を表すUBRとの合算によって求められる。
引用元 : 1.02 - Essence of Baseball | DELTA Inc.

(あっ、これでいいじゃん)

守備の評価

WARにおける守備の評価はUZRを用いる。打球の処理によるアウト獲得だけでなく内野手については併殺処理、外野手については送球の貢献も考慮に入れた守備の評価がWARに組み込まれる。
引用元 : 1.02 - Essence of Baseball | DELTA Inc.

この通り守備の評価にはUZRと呼ばれる指標を用いている。
UZRとは簡単にわかりやすくいうと守備範囲の広さを表す指標である。
UZRについては次回も掘り下げていく。

#2 そうだ、順位を予想しよう。

捕手の能力を元に順位を出す前に、チームの総合力というのを出してみよう。
仮に学校などの環境でクラスの学業の優劣を比較し一番頭のいいクラスを探し出す場合、どのように探し出すであろう。 そう、平均点である。
これがテストの点数ではなく、入試などで各個人の成績を評価する場合どのように評価するだろうか?
そう、偏差値である。偏差値があることによって学生の価値を相対的に算出することが可能になる。
ではプロ野球の世界における偏差値とは一体なんなのだろうか

プロ野球の偏差値

プロ野球の偏差値のようなものとしてWARがあげられる。
これはセイバーメトリクスという手法を利用して選手を相対的に評価しようと考え出された指標であり、リーグ内において走攻守の部門でどれだけ勝利を貢献したかを表す。
野球のいうのは非常に簡単なスポーツで、できるだけ多く点を取った方が勝ち、できるだけ少ない点数に抑えたチームが勝つ。この指標はその中でどれだけ得点に関与しチームに勝利をもたらしたかを指標化したものであり、非常に有用な指標と言える。
ここで2019年度WARランキングを見てみよう。
※野手

順位 選手名(チーム) WAR
1 鈴木誠也(広島) 8.6
2 森友哉(西武) 7.8
3 山田哲人(ヤクルト) 7.3
4 外崎修太(西武) 6.7
5 坂本勇人(巨人) 6.5
6 浅村栄斗(楽天) 6.2
7 吉田正尚(オリックス) 5.7

※投手

順位 選手名(チーム) WAR
1 山口俊(巨人) 6.7
2 千賀滉大(ソフトバンク) 5.8
3 今永昇太(横浜) 5.2
4 山本由伸(オリックス) 5.1
5 有原航平(日本ハム) 4.5
6 山岡泰輔(オリックス) 4.4
7 西勇輝(阪神) 4.0

このようにWARを算出することによってポジションの違う選手を相対的に評価することができる。

#1 そうだ、順位を予想しよう。

プロ野球の順位を予想する。それはプロ野球開幕前の風物詩である。

好きな球団を贔屓して順位予想

自分は千葉ロッテマリーンズが好きで応援している。
北海道に住んでいるなら日本ハムを応援しろ!!なんて声をよく聞くが一度マリーンズの外野スタンドに足を運ぶと応援の虜になってしまう。
札幌ドームのライトスタンドを埋め尽くす黒服集団。
その光景をみて他球団のファンは黒船来航なんて揶揄することもある。
会社員や学生。スタンドに集った彼らは日常を忘れてただひたすら大きな声で一致団結し、選手たちを鼓舞する。 その姿は圧巻である。

www.youtube.com

話が逸れたがプロ野球を応援する上で順位予想をするとどうしても贔屓目で自分の好きな球団を1位にしてしまう傾向がある。
そこで正確に予想をするにはデータを元に予想を行えば良いのでは無いかと考えた。
まず過去の順位成績から何が要因として強く関係しているのか考えてみた。

捕手の成績と順位

そうだ、捕手を評価しよう。 - 野球の無い街で、野球を研究する

こちらにも繋がるのだが、プロ野球の順位と捕手の成績は強く関係しているように感じた。 広島がセリーグ3連覇を成し遂げたが、その陰には會澤翼の存在があった。
パリーグも同じく昨年覇者西武には森友哉日本シリーズMVPとしてソフトバンク甲斐拓也がいる。
以上のことから、捕手の成績とチームの順位は関係していると分析し、捕手の能力を元に順位予想を行うことにした。

#0 そうだ、捕手を評価しよう。

はじめに

先日、日本シリーズが終了し、2019年シーズンのプロ野球全日程が終了した。
福岡ソフトバンクホークス読売巨人軍を圧倒し日本一で幕を閉じ、MVPはグラシアル選手でホークス打線の恐ろしさの象徴となった。
だがしかし、自分の思う日本シリーズMVPは異なり、昨年のMVP甲斐拓也選手と投手陣だと考えている。 その理由についてはこちらの記事を読んで欲しい。

full-count.jp

ホークス投手陣の能力の高さと甲斐拓也選手の配球術がなければ日本シリーズはまだ分からなかったかもしれない。
それほどまでに捕手の存在というのは重要である。

現状の捕手の評価

野球という競技は大まかに分類すれば投手、野手というように分けることができるが、野手の中でも捕手は全く異質な存在である。
それは野球に少しでも理解がある人なら考えずともわかることだろう。
最近のプロ野球で「最強の捕手は誰?」と問えば
森 友哉」「甲斐 拓也」「梅野 隆太郎」「會澤 翼」「小林 誠司
なんて名前が上がるはずだ。
まずは森 友哉。今年のパリーグ覇者の主力捕手で首位打者を獲得した打てる捕手である。
山賊打線の3番に座り、その圧倒的な打撃センスでパリーグ投手陣を恐怖に陥れた張本人である。 シャークの登場曲が流れるだけで寒気が走る、これは言わずもがな最強。
続いて甲斐 拓也。先述した通り、日本シリーズ影のMVPであり、昨年は甲斐キャノンで一世を風靡した。 その肩力は12球団最強であり、今や育成出身とは思えない活躍ぶりである。
セリーグで名前が上がるのは梅野 隆太郎だろうか。昨年のゴールデングラブ捕手であり、守備力は言わずもがな。
また今年の球宴では原口選手と並んで二者連続本塁打を放つなどその打撃の存在感も12球団のファンに示した。 広島の打てる捕手會澤 翼侍ジャパン正捕手小林誠司なんかも上がるかもしれない。
他にも名前が上がるかもしれないが、今回あげた選手たちは広島をのぞいて今年Aクラスに名前を連ねたチームの選手たちだ。 つまり強いチームには強い捕手がいると言える。
だがどうだろう、捕手を評価するための指標というのは存在するだろうか?
盗塁阻止率がそれに当たるかもしれないが、果たして本当に捕手の能力を評価できているだろうか?
そこで本ブログでは、捕手を評価する指標について考えていこうと思う。